第2章  医療被ばくの低減

1.わが国の医療被ばくの現状
1)医療被ばくの現状
□ わが国は諸外国に比較して、国民1人あたりの医療被ばく線量が高い。これは必ずしも高線量の放射線診  療がおこなわれていることだけを意味するのではない。他の国に比べて放射線診療器機がひろく普及してい  ること、集団検診システムが確立していること、医療保険が行き渡っていることなども理由にあげられる。
□ 2001年4月1日施行の医療法施行規則で新しい医療技術への対応として追加された放射線診療は何か?  これにより被ばくの形態も変化していくと思われる。 @核医学撮像装置の吸収補正用線源の使用
A核医学装置とCT装置の同一室内での使用
B診療用放射線照射装置または診療用放射線照射器具を透視下で体内に挿入することによる放射線治療の実施
C移動型診療用高エネルギー放射線発生装置の手術室での使用
□ 1998年6月30日厚生省通知で患者の在宅でのX線撮影が可能となっている。
□ 1998年6月30日厚生省通知で131Iと89Srを使用した患者の退出基準が定められた。
2)医療被ばくの特徴
□ 医療被ばくには(  )がない。 線量限度
□ 職業被ばく、公衆被ばくには(  )、(  )、(  )の3段階の防護体系がある。 正当化
最適化
線量限度
3)医療被ばくに内在する問題
□ 妊娠の可能性のある女性の診療については(  )を考慮すべきである。 10日規則
□ 妊娠可能性のある女性の(  )が照射野に入る検査では、特に急ぐ検査でなければ月経(  )10日間に実  施する。このことを(  )と呼ぶ。 下腹部
開始後
10日規則
□ ガイドラインに基づく最適化の検討には技師が最もふさわしい。このガイドラインについて説明せよ。 1.行為の正当化、防護の最適化が満たされ、インフォームド・コンセントがなされていれば、その診断情報および治療効果を確保するための医療被ばくには制限を設けない。
2.医療被ばくの低減を図るためには放射線技師は
@最高の性能を維持するための放射線機器管理技術を確保する。
A最適の被ばく低減化技術および放射線関連診療材料の導入を図る。
B正確な被ばく線量測定技術の確立に努力する。
□ 内部被ばくにおけるAFとは? 吸収割合:特定の線源組織内で特定の種類の放射線として放出されたエネルギーのうち、特定の標的組織に吸収される割合
2.線量測定
単純撮影・造影検査領域の線量測定
a)電離箱線量計の選択
□ 測定しようとする照射条件がその測定範囲にあり、(  )が極力小さく、電離容積が数cm3程度の(  )を用意する。 エネルギー依存性
電離箱線量計
□ 乳房撮影の場合には、実効エネルギーが15KeV程度であるので、低エネルギー用の(  )が必要になる。 並行平板型電離箱線量計
□ これらの線量計は国際標準とのトレーサビリティがおこなわれ、(  )が与えられていることが必要である。 校正定数
b)照射管電圧の線質評価
□ 照射管電圧の線質評価のために(  )をおこなう。 半価層
□ フィルターには純度の高い(  )、(  )を用いる。実効エネルギーが40KeV以下では(  )、30〜200Ke  Vでは(  )を使用するのがJISの目安である。 アルミニウム

アルミニウム
□ 高線量率のパルスX線が照射されると電離したイオンが集電極に収集できず電離により生じた電荷量が少   なく測定される。この損失を補正するための係数を(  )という。 イオン再結合補正係数
□ 空中線量は被検者からの(  )を含んでいない線量であるため、入射面における後方散乱を加味する必要  がある。この補正には(  )を用いる。 散乱線
後方散乱補正係数
□ 入射表面吸収線量を算出するのは、(  )を乗じて吸収線量に換算しなければならない。 吸収補正換算係数
□ 吸収補正換算係数は照射線量の単位がC/kgの場合には(  )、Rの場合には(  )となる。 33.73
0.00870
(3.73×2.58×10*−4)
□ 乳房撮影の被ばくの線量測定は、電離箱線量計による評価と米国(  )で制定された平均乳腺組織吸収線  量による評価がある。 ACR
□ 乳房撮影による乳腺評価は乳腺組織に吸収された平均線量率で表すのが、リスク評価をおこなう上で最も  有効な指標になる。この吸収線量を(  )という。 平均乳腺組織吸収線量
□ TLDによる被ばく線量測定では、素子に放射線を照射してから測定までの時間がかかると、時間の経過とと  もに発光量が少なくなり値が低くなる。この現象を(  )と呼び、このことによる補正をおこなわないと正確な   値が測定できない。この補正係数を(  )という フェーディング
フェーディング補正係数
□ 被ばく線量を推定する方法として(  )表面線量簡易換算式がある。 NDD
2)X線CTの線量測定
□ X線CT用電離箱を用いて1回の測定で評価した線量を(  )という。 CTDI
□ 患者のある1点の総被ばく線量は、隣接したスライス位置でのスキャン線量も加算して評価する必要がある  。この線量を(  )という。 MSAD
□ MSADは15スキャン以上の線量分布の(  )である。 中心線量
□ 電離箱線量計で測定したCTDIはMSADと同じである。
□ CTの被ばく線量測定では、通常の指頭型電離箱線量計では、電離箱部分全体が十分にX線ビーム内に含  まれないため問題が生ずるが、(  )線量計では1回の測定でCTDIが測定できる。 ペンシルビーム型
□ CTの実効エネルギーの測定では管球を固定した方法と管球を回転したままで測定する方法がある
□ CTDIは円柱ファントムの中心線量としての評価法であるが、患者の被ばくの最大点は表面近傍に存在する  。つまり、中心と表面では線量が異なる。IECではこれを補正した(  )を中心線量とともに採用している。 CTDIw
□ CTDIwは次の式で求まる。
  CTDIw=中心線量×1/3+表面線量(上下左右の周囲の4点の平均)×2/3 
□ 空気中でイオン対一個をつくるのに必要なエネルギーW値は(  )J/Cである。 33.73
□ 厚生労働省医薬局長通知ではW値は(  )J/Cとなっている。 33.97±0.05
□ 照射線量に(  )を乗ずると吸収線量が求まる。 吸収線量換算係数
□ 吸収補正換算係数は照射線量の単位がC/kgの場合には(  )、Rの場合には(  )となる。 33.73
0.00870
(3.73×2.58×10*−4)
3)IVRの線量測定
□ IVRは血管性IVRとCT、MRI、エコーなどを利用する(  )に分けられる。 非血管性IVR
□ (  )はアテローム硬化病変部に挿入し血管を内腔内側から支持するものである。 ステント
□ ステントの形状にはコイル、メッシュ、(  )がある。 ケージタイプ
□ 確定的影響のしき値の指定値からIVRで確定的影響を注意すべき組織・臓器は、@皮膚A眼の水晶体A(   )である。 生殖腺
□ IVRの確定的影響を防止するための監視線量としては(  )である。 入射表面線量
□ X線透視装置に取り付けて、透視時における患者の被ばくを測定するのに(  )線量計が使用される。 面積(線量計)
□ 面積線量計では被ばく線量が直接測定されるのではなく、断面積と(  )の積が測られる。 空気カーマ
□ 照射線量は空気の体積要素から放出された二次電子による電離量を測定するのに対し空気カーマは、空   気の体積要素から放出された二次電子の(  )の総和を測定する。照射線量と空気カーマは概念的には同  じである。 初期運動エネルギー
□ 面積線量計は(  )で表される。 Gy・cm2
□ スキンドーズモニタ(SDM)は、シンチレータとフォトダイオードを用いたリアルタイム読み取り吸収線量計である。
□ SMDは線量依存性は0.9〜40.9mGyの範囲で良好な(  )が保てれている。 直線性
□ 線量によって測定器の指示値に誤差が生じる特性を(  )という。 線量依存性
□ SMDは線量率依存性は296〜7321mGy/minの範囲で感度の(  )が保てれている。 直線性
□ 線量率により指示値に誤差が生じる特性を(  )という。 線量率依存性
□ 同じ照射線量でも光子エネルギーによって指示値が異なる特性を(  )という。 エネルギー依存性