周波数特性の基礎


波形を分解する

簡単に説明するために、私たちが観察する画像を5×5ピクセルとして話を進めます。

はじめに、この画像の中心部の横方向だけに注目して、そのピクセル値をプロットしてみますとガタ ガタした波が出来あがります。この波は周期が同じであるようなもの(周期関数と言います)であればフーリエ級数と言う式で示され、三角関数(sin波やcos波)の合成で出来上がることが知られています。しかし、画像のようなガタガタした波や矩形波が1個だけ孤立しているような波は、周期的に変化 していないのでフーリエ級数は使用できずフーリエ変換を使わなければならなくなるそうです。

フーリエ変換を簡単に述べると、画像のようなガタガタした波形の中に含まれる色々な周波数の波の振幅(波の高さ)を調べる方法だと思ってください。 (位相もあるのですが、 ここでは省略します。)

下の図は矩形波をフーリエ級数で計算し周波数の異なる波を示したものです。

矩形波は@〜Cの周波数の波に分解することができ、反対に@〜Cの波形を合成すると矩形波に戻りま す。@+Aの波形にBを加えたのが@+A+B、それにCを加えたのが@+A+B+Cの波形で矩形波に近づ いていることがわかります。

これらの周波数毎の振幅と周波数をグラフにしたのが周波数特性であり、横軸に周波数(空間周波数) 、縦軸にはその周波数の振幅を取ります。@の特性は高周波になっても振幅の値が小さくならず、A は高周波になるにつれて振幅が徐々に低くなっていっています。この曲線から@のような特性をもつ波は高周波になっても振幅が小さくならないので、高周波成分(細かな波)をいっぱい含くんでいる波だと言えます。Aは高周波の振幅が徐々に小さくなっているので、低周波が多く含まれている波だと解釈できます。

では、実際の周波数特性の計算のやり方を理解していきます。先ほども述べたように画像の波は連続ではなくピクセル間隔の値を持つためフーリエ級数は使えずフーリエ変換によらなければなりません。 また、これらのフーリエ変換は離散フーリエ変換(DFT)でおこなうとのことですのでその方法を説明します。

方法は特別に難解な計算ではなく式に値をあてはめて計算すれば周波数特性が求まります。どうしてこのような式になるのかは考えないで計算のみしてください。