収集されるカウントについて
収集されるカウントについて?
先の説明で1ピクセルの長さもピクセル数(画素数)も決まりましたから、こんどはこの1ピクセルに収集されるRIのカウントをみてみます。1ピクセルは53カウント、2ピクセル目は30カウント・・・・と言うように、どんなガンマカメラも1ピクセルで収集されるRIの個数は整数となります。
では実際のガンマカメラはいくらまでの個数を測定できるのでしょうか?測定できるとの言葉はおかしな表現かもしれませんが、この個数は1ピクセルが持っているメモリの記憶容量によって決まってしまいます。
512×512×16bitなどの言葉を製品のカタログなどでみかけられたことがあると思いますが、最後の16bitとは記憶される容量を表現しています。16bitは216すなわち216=65536ですから、数字で述べたら0〜65535までの数字が表現できると言うことです。では、16bitのものは0〜65535個までのRIの個数を数えることが可能だと理解してもよいのでしょうか?このことを理解するのはプログラム的なこと(コンピュータが使用できる数値)を含めて考えておかないといけないのです。
(注:512×512×16bitは階調が16bitであるとの表現にも使われますのでカタログの意味を間違えないでください。)
ビット、Int型(インテジャー)?
512×512とか256×256の1ピクセルの大きさは決まりました。ではこの箱に収集されるRIの個数はいくつまで数えられるのでしょうか? 100個?10000個?・・・・無限?・・・・
収集される個数は整数だと説明しました。この1ピクセルに貯まる個数は12.3とか50.5とかの実数ではなく整数です。12、50とかの実数ではありません。
1ピクセル箱の縦横の長さは決まりましたから、次にはこの1ピクセルが数えることの出来る個数を決定してやらなくてはなりません。1ピクセルが最大で100個までしか数えられないような箱を準備すると、200カウントは数えられなくなりオーバーフローしてしまいます。いくつまで数えられる箱にすればいいのでしょうか?
デジタル画像を扱うときには、ピクセル数や1ピクセルに収納できる個数などを規定した箱(メモリー)を最初に規定しておいて、その約束に従って収集データが保存されていきます。
この約束される箱の記憶できる容量は、C言語でプログラムを書くときにint型とかflot型、duble型、文字を扱うにはchar型などと書くように約束されていますから、int型の箱を準備すると32ビット(4バイト)の整数(符号あり)、short
int型の箱は8ビット(2バイト)の整数(符合あり)・・・を扱うことができますから、装置がどの整数型(インテジャー)を使っているかを知っておく必要があります。
各装置や解析ソフトなどでよく使用されるint型(インテジャ)は英語の整数(integer)を示している言葉であり、書かれているプログラムの「型」を表現しているのではありませんから扱われているデータが何ビットであるかは各メーカに聞かないとわかりません。(普通はintと言ったら、short
int型で2バイトを示していると思います)。
下表にC言語で使用される変数の「型」を少しだけ書いておきます。
種類 | 名前 | サイズ | 記憶できる値 |
整数型 | short int | 2バイト | 整数 -32768〜32767(符合あり) |
unsigned short int | 2バイト | 整数 0〜65535(符号なし) | |
int | 4バイト | 整数 -2147483648〜2147483647(符合あり) | |
unsigned int | 4バイト | 整数 0〜4294967295(符号なし) | |
単精度浮動小数点型 | float | 4バイト | 単精度浮動小数点 3.4E−38〜3.4E+38 |
int型(整数型)にも、上のようにshort int、unsigned short int、int、unsigned
intなどがあり同じ整数でも扱われるサイズが違っていますので、プログラムの中身がどんなint型が使用されているのかは各メーカに聞いてください。
short int型であったら?
512×512×16bitがshort int型である装置でしたら、数値は上の表のようにったら -32768〜32767 までの数値しか記憶できませんから、32767以上の個数は1ピクセルでカウントされるないと言うことになります。ですから、記憶する箱をshort
int型で準備しているメーカの装置は、1ピクセルで数えることのできる上限のカウント値は32767個となります。
unsigned short int型の箱を準備しているメーカでは上限が65535個になります。このように準備している箱がなにであるかによって1ピクセルで数えることのできる最大値が決まってしまいます。
ちょっと不思議なことがありませんか?short int型は-32768〜32767の数字があつかえると言いました。でもRIの個数を数えるのは正の整数です。−100カウント、−200カウントは存在しません。ならば、扱える型を(unsigned
short intやunsigned int)などの正の(符号なし)整数が入る箱を準備すればいいのどうして-32768〜32767の数字を扱うような箱を準備しているのでしょうか?
これは、画像解析に使われるからなのでしょう。どこかのページで再構成フィルタの説明をしました。実空間では再構成フィルタは負の値をもっています。この負の値をもったデータと収集したデータをコンボルーション積分したり他の解析をするのに都合がいいからです。これの説明をすると長くなりますから止めますが、こんな理由でshort
int型の負〜正の整数が入る箱を準備しているのだと思います。
Float型の解析装置とは?
収集されるデータがshort int型である装置で説明します。SPECT再構成画像はコンピュータの中のソフトで解析されています。コンピュータの中では複雑な計算がされているのですが、その答えを出す箱が整数しか扱えない箱であったとしたらちょっと問題がおこります。SPECT再構成画像を作り出すには、再構成フィルタなどの少数で負の値をもったデータといろいろな計算をおこなわなければならないのです。その計算された結果は少数ででてきます。
このとき計算された結果を入れる箱が整数しか扱えないものであったらば、少数点以下の数値は切り捨てられてしまします。これではデータに誤差が生じ、正確な画像を作り出すことができなくなります。(理論的にはこうなりますが、整数でもあまり変わらないかも・・・・・)
このため、計算するときに少数が扱える箱に画像再構成フィルタや前処理フィルタなどの値を入れておいて計算すれば少数点以下の数値も扱うことができ、結果を表示する箱も小数が入るようにしておけば計算誤差は少なくなり精度の良いデータが得られることになります。このように浮動小数点を扱っている解析装置をFlot型云々と言っているのでしょう。