対応のないt−検定の実際


1.対応のないt−検定を実際におこなってみる


 Z−scoreについてで説明させていただきましたように、Z−score画像とはノーマルデータに比べて標準偏差で何個分離れていつかを色合いとして出しているものであります。普通はZ値は正規分布上での表現だと私はおもっています。3D−SSPでは対応のないt−検定をおこなって結果としてZ−scoreを画像として描出しているのですが、t−値を画像としていると考えたほうが良いのではと思うのですが・・・

では実際に対応のないt−検定をおこなってみます。ここでは正常の脳血流であるコントロール群3名と脳梗塞群5名の大脳におけるカウント値の検定を例にして説明します。3D−SSPではそれぞれのピクセルについて検定がなされているのですが、ここでは全てのピクセルについてではなく、概念を理解してもらうために1ピクセルのみで検定することにします。

コントロール群3名、脳梗塞群5名のおなじ箇所におけるピクセルのカウントを検定します。(ただし、分散に差がないときとします)

 コントロール群3名と脳梗塞群8名のカウントが次のようになったと仮定します。

脳梗塞群5名
   (n1)
コントロール群3名
     (n2)
40 カウント 50 カウント
50 カウント 60 カウント
30 カウント 50 カウント
40 カウント
30 カウント



1)各群の平均値を求める。
                      脳梗塞群の平均値(x1)=(40+50+30+40+30)/5=38.0

                            コントロール群の平均値(x2)=(50+60+50)/3=53.3
 


2)各群の標準偏差を求める。

      脳梗塞群の標準偏差(s1)=SQR{((40−38)^2+(50−38)^2・・・・+(30−38)^2)/(5−1))}=8.37
      コントロール群の標準偏差(s2)=SQR{((50−53.3)^2+(60−53.3)^2+(50−53.3)^2/(3−1))}=5.77 


          
3)脳梗塞群の平均値(x1)とコントロール群(x2)の差を求める。(統計量を求める)

                      x1−x2=38.0−53.3=−15.3


4)2群の合成分散の平方根を求める。(確率を求める)
 

     s = SQR{(s1^2×(n1−1)+s2^2×(n2−1))/(n1+n2−2)}
                   = SQR{(8.37^2×(5−1)+5.77^2×(3−1)/(5+3−2)}
                        = 7.55

                       (n1+n2−2):自由度



5)統計量(x1−x2)を t = (x1−x2)/(s×SQR((1/n1)+(1/n2))で標準化しt値を求める。

          t=−15.3/(7.55×SQR(1/5+1/3))=ー2.81・・・・・・・・・・・t値をZ−scoreとして描出
                                                   (おそらくそうだと思います????)

 

 このような方法で各ピクセル毎で対応のないt−検定がなされているのだろうと思っていますが・・・・・・・間違っていたら教えてください


(余談)

これを一般の検定で判定すると自由度5+3−2=6、有意水準α=0.05におけるt値は(t−表を利用してください)2.447であります。
標準化後のt値はー2.81は、両側確率のtよりも偏っていることから、P<0.05なので「2群に差がない」との仮説を棄却して「2群のカウント値に差があると」といえることになります。