周波数について(1)
いままで、離散フーリエ変換や離散逆フーリエ変換、前処理フィルタなどについて説明しましたが、わからないとのメールをただきましたので、もう少し簡単に数式を用いないで核医学画像処理の基礎について言葉で説明させていただきます。。説明の中には疑わしい意味(嘘)も含まれていると思いますがお許しください。
RI画像について
放射性医薬品を体内に注射して、臓器からでてくるγ線をシンチレーションカメラで撮影するのが核医学検査ですが、体内に注射する医薬品は放射性であるため限られた量しか注射できません。
すると、体内から出るγ線も量が少なく、感度の低いシンチレーションカメラでは十分なγ線をキャッチすることができないのです。このような状況の中で撮影していますがら、画像はざらついたものとなってしまいます。
ざらつきをなくすには
画像のざらつきを無くすには、多量の放射性医薬品を投与すればいいのですがそうはいきません。ではどうしたらざらつきを無くすことができるのでしょうか?そこで考えられたのが平滑化フィルタなのです。SPECTの画像処理で使用される前処理フィルタ(バターワース)も画像を滑らかにするフィルタなのです
これらのフィルタは低域通過フィルタとも呼ばれ、ざらついていない部分(低い空間周波数のところ)はそのままの状態にして、ざらついているところ(高い空間周波数のところ)は滑らかにしてしまうものなのです。
ですから、低周波数領域はなにもしないで通過させるために低域通過フィルタ(低周波数通過フィルタでもいいのでは?)と呼ばれます。
高い周波数?低い周波数?
これからの説明で、高いとか低い周波数などの言葉がでてきますので、簡単に述べておきます。少量のRIと水を平面の容器に入れてシンチレーションカメラで撮影するとどうなるでしょうか?
本来ならば画像はどこも同じカウント(濃度)でブラウン管に表示されなければならないのですがざらついてしまします。つぎに、多量のRIを入れて同じように撮影してみますと前のものよりもざらつきは少なくなっていることがわかります。
少ない量のRI画像は高周波数成分を多く含み、滑らかな画像は低周波数成分であるといっています。このように覚えておけばよいのですが、低周波、高周波がはっきりつかめない方は次を読んでください。
電気の話です
私は西日本に住んでいます。これを読まれている方のなかには東日本の方もいやっしゃるとおもいます。電気です。私たちが使用している家庭のコンセントには交流の100Vの電気(?)がきています。西日本は交流60ヘルツ、東日本は交流の50ヘルツを使用しています。
ちょっと脱線します。なぜ東と西では周波数がちがっているのでしょうか?
東とはどこからなのですか?
長野県(一部の地域は60ヘルツ)、山梨県、新潟県(一部は60ヘルツ)を境にした東側が50ヘルツ、西側は60ヘルツになっています。これは電気事業がはじめられた初期に、関東ではドイツから50ヘルツの機械を導入し、関西ではアメリカから60ヘルツの機械を輸入したためにこのような状況になっているそうです。いまは一応60ヘルツに統一するようにはなっているようですが、経費の関係で困難であるそうです。
このように、プラス、マイナスと繰り返す波が関東では1秒間に50回、関西では60回であるのを50ヘルツ、60ヘルツ(ヘルツ=/s)とよび、関東と関西を比較して表現すると関東は低周波数、関西は高周波数と呼ぶことができます。
画像に戻ります
前の電気の話で50、60ヘルツを比較すると50は低周波数、60は高周波数と呼びました。1秒間に繰り返す波の数が多いと高周波、少ないと低周波でありました。
RI画像はざらつきを1秒間では表現できませんから、写し出された画像を考えてみます。少ないRIで撮影された画像と、多量のRIでの画像はカウント(濃度)は違っても、写し出されている範囲は同じです。ここからの説明は正確ではないのですがこのまま読んでください。この画像を同じサイズのフィルムに焼きます。少ない量と多いRI量の画像フィルムの同じ部分(横方向または縦方向)の1ピクセル(フィルムにピクセルはないので同じ間隔が正解)の濃度を測定していきます。少ない量の写真の濃度変化はがたがたしています。
多い量のものは少ない量の写真にくらべて滑らかな変化となります。ここで周波数を考えます。電気の場合は1秒間に繰り返す波の個数が周波数でした。1秒間に繰り返す波が多ければ、少ない繰り返しの波に比較して高周波数であると表現しました。
ここではフィルムを例にあげましたので波の変化は1秒ではなく1センチ単位に何回の波(濃度変化)が繰り返しているかを調べればよいことになります。1センチでなくてもかまいません。1ミリセンチでも・・・・1ミリセンチに3つの波が繰り返されているのなら周波数は3/cmであります。画像ではこの単位をlp/mmとかlp/cmで表現します。lpとはline pairs(個数?)を意味します。ですから、ばらついている(波が多い)のは滑らか(波が少ない)に比べて高周波数のものであるといえるのです。