離散逆フーリエ変換の基礎(3)


周波数特性(振幅)から離散逆フーリエ変換はできるのか?

前頁で離散逆フーリエ変換を学びましたが、疑問な部分が1点あります。
離散逆フーリエ変換するには、|F(u)|ではなくF(u)であることを述べましたが、Butterworthフィルタ などのように周波数特性で示されるフィルタの特性曲線(カーブ)はF(u)ではなく|F(u)|で示されて いますから、F(u)の値はわかっていません。
何度も述べますが、周波数特性(振幅)は


の結果として表示されるので、この特性のR(u)とI(u)を知ることはできません。これがわからなければ 離散逆フーリエ変換は出来なくなるのです。

ならば、どうすればButterworthフィルタのような特性を離散逆フーリ エ変換できるのでしょうか?


隅関数だから都合がよい

都合の良いことに、Butterworthフィルタなどの前処理フィルタの全部(?)は 隅関数になっています。これの良い点はsin部分が足し合わさると0となってし まうことです。
周波数特性(振幅)は、離散フーリエ変換で述べたように


になっていました。
このI(u)=0となれば


R(u)の部分のみになり、このR(u)は正の数となります。すると

となりますから、振幅はR(u)を示していることにな ります。したがって、このR(u)をそのまま離散逆フーリエ変換の式 に代入すれば良いことになるのです。